2010年9月25日土曜日

これって男映画なんだろうね… クルーニーの『The American』

最近「金曜日は映画の日」と決めて勤勉に?見に行っているのですが、こちらに感想を書く方が滞っているので、さらっと短く書き留めたいと思います。





ジョージ・クルーニー主演の『The American』、アントン・コービンとクルーニーの共同監督となっています。
この映画に関しては、「あまりの展開の遅さに、寝た。」という複数証言を得ており、一方で「この夏最高の作品」というのもネットで目撃していたので、どんなだか自分で見に行ってみる事にしました。

【あらすじ(軽くネタバレ)】
ジャック(クルーニー)は、狙撃手。女性と山中にいるところを狙われ、逆に敵を仕留める事に成功するが、同時に恋人の事も殺してしまう。
イタリアに逃げてきた彼は、雇い主にコンタクトをとり、その指示でキャッスルベッキオという田舎町へ移動する。そこで女性の狙撃手マチルデのために、カスタムのライフルを誂えるという仕事を引き受ける。器用な手先でこつこつとライフルを仕上げる一方で、町の神父や、クララという娼婦と、徐々に親しくなっていく…


【感想】
結果:すごくお腹が空いていたので、寝る事はなかったです(笑)でも確かに、展開が遅い。ジャックが美しいイタリアの石畳の坂を登ったり降りたり、そこで何か起こるのかなぁと思いきや、たいてい何も起こらないw しかしそういう「何も起こらない」場面をどんどん積み重ねていく映画なんですね。だから内容量で言うと「これでもか」と詰め込む一般的ハリウッド映画の1/3くらいしかないのかもしれない。そういう無駄なシーンは映像的には非常にキレイで心洗われるようなのは確かなのですけど、あんまり続きすぎると冗長なのよねぇ。

女性陣が豪華な美人で、特にクララが登場したときには吃驚。イタリアの娼窟には、こんなないすばでぃなお姉さんが棲んでいるのかしらん?そしてベッドシーンはほとんどクララしか写してないんですけど、ものすごーくえっちでした(笑)

そういうところも含めて、これってやはり男性向けサービス映画の伝統に則ったフィルムなんじゃないでしょうかね?クルーニーが器用に道具をあやつり、銃を改造していく場面、ああいうのって男性陣が泣いて喜びそうだし、ぼーん、ぼーんとした肉体のお姉さまがさらりと脱いだりするのもそうだし、スナイパーという職業の孤独感に耐えて今にも砕けそうになっている姿も、「男のひとは喜ぶんだろうなぁ」なんて思わずにはいられなかったです。

プロットとしては、王道というか、収まるところに収まってどんでん返し的なものも全くないんで、退屈に思える観客が多いでしょうね。最後なんて「やっぱりそうなるんですよねっ」と内心つぶやいてしまいました。

ところでこの「The American」というタイトル。
ジャックはカフェでわざわざアメリカンコーヒーを頼んだり、ガム噛んでみたり、店で流れる曲が(浅学にして誰の曲かは知りませんが)♪the american~♪と聞こえてきたりと、いかにもアメリカ人である事を際立たせている。一方、見せる手法としてはハリウッドではなく、まるで古いヨーロッパ映画に憧れてつくったような作りな訳です。かつ舞台はイタリア。
そんな欧州風の映画の中でわざわざ「あるアメリカ人」と謳った、それはアメリカの映画を冷めた目で見つめている作成陣の、姿勢の表れなのかもしれない、と思ったりもしたのでした。

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